裁量行為であっても、ある者に適用した考え方を、別の者に適用しない合理的理由のない場合は平等原則違反として裁量の逸脱・濫用と認定されることがあります。

裁量による判断にバラツキが出ないよう、裁量基準が設けられている場合があります。入管法分野では入国・在留審査要領、在留特別許可に係るガイドラインなどがこれにあたります。

これら裁量基準の適用に関するポイントは、異なる取り扱いは「合理的理由のない場合」に限り平等原則に違反することです。言い換えると、合理的理由があれば異なる取り扱いをしても許されるわけです。

平等原則違反に関する裁判例として注目されるのが東京地判平成15年9月19日(判時1836号46頁)です。

この裁判で問題となったのは「長期間にわたる平穏な在留」という事実でした。この事実に対し行政サイドは不利益な評価をしました。つまり、長期間平穏に生活していたとしても、それは不法在留という違法状態を長期間にわたって続けていたことに他ならないので、在留特別許可を与えるかどうかについては、原告にとって不利益な事実であるとしたのです。

しかし、在留特別許可に係るガイドライン第1の2(5)では、在留特別許可の積極要素(在留特別許可を認める方向の要素)として「当該外国人が、本邦での滞在期間が長期間に及び、本邦への定着性が認められること」が明記されています。

判決当時、在留特別許可に係るガイドラインはなかったのですが、平穏な態様での長期在留は実務上、黙示的な基準として確立していました。

したがって「長期間にわたる平穏な在留」が原告に有利な事実として斟酌されないとすれば、その合理的理由が存在しなければなりません。しかし、そのような理由が存在しなかったことから、裁判所は行政サイドが原告にとって有利な事情として考慮しなかった点に平等原則違反があるとしたのです。

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在留調査チーム高度な調査に基づく在留特別許可手続きで強制送還をストップ! 法律調査と事実調査の専門調査員が連携して在留特別許可に関する書類を作成します。収容案件では即時面会を実現して仮放免許可申請に備えます。在留調査チームは徹底した法律調査と事実調査を行う在留特別許可の専門チームです。