比例原則とは侵害される利益と達成される利益の均衡がとれていることをいいます。たとえば違法の程度が低い場合は処罰は軽微で、違法の程度が高くなると処罰も重くなるような場合です。

違法性の程度に応じて処罰の軽重もスライドするわけです。比例原則は行政の権力活動一般に適用される原理として機能しています。

判例は、裁量の逸脱・濫用の審査にかかわる比例原則について「社会観念上著しく妥当性を欠く」という基準を定式化しています(最判昭和52年12月20日・民集31巻7号1101頁・神戸税関事件判決)。

ポイントは「著しく」という部分です。

この文言によって逸脱・濫用の範囲が狭められています。

裁判例を見てみると、まず、東京地判平成15年9月19日(判時1836号46頁)は、退去強制令書の発付及びその執行がされた場合に当該外国人一家が受ける「著しい」不利益と退去強制令書発付処分により達成される利益とを丁寧な事実認定のもとに比較衡量した上で、退去強制令書発付処分は比例原則に反した違法なものであると判断しました。

在留特別許可に関する事件ではありませんが、福岡高判平成6年5月13日判決(行集45巻5・6号1202頁)は再入国不許可処分につき、永住資格を失わせるという退去強制処分と実質的に異ならない法的不利益を与えることは、あまりにも過酷な処分であり比例原則に反するとしました。しかし最高裁でこの高裁判決は取り消されています。

在留特別許可に係るガイドラインは、積極要素として考慮すべき事情が明らかに消極要素として考慮すべき事情を上回る場合には、在留特別許可の方向で検討するとしています。

この考え方は、比例原則を明文化しているものと考えることができます。

退去強制令書発付処分によって当該外国人を本国に強制送還することが「社会観念上著しく妥当性を欠く」か否か、つまり、当該外国人にとって強制送還による不利益が「著しい」ものか否かがポイントになります。

そして「著しい」とは積極要素が消極要素を大きく上回る場合だと考えることができます。
 

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在留調査チーム高度な調査に基づく在留特別許可手続きで強制送還をストップ! 法律調査と事実調査の専門調査員が連携して在留特別許可に関する書類を作成します。収容案件では即時面会を実現して仮放免許可申請に備えます。在留調査チームは徹底した法律調査と事実調査を行う在留特別許可の専門チームです。