在留特別許可の嘆願をする場合、法務大臣の裁量統制の判断枠組みを知ることが重要だと繰り返してきました。

この点に関し「判例の射程」について理解しておかなければなりません。
「射程」とは、裁判例の判断枠組みが使える範囲のことをいいます。どういった事実関係であれば、その判断枠組みをあてはめることが許されるかという意味です。

これまでお話ししてきたように法律調査は、まず事実関係の類似した裁判例を見つけ、事実からどのような判断枠組みによって結論に至ったのか、ということを調べます。次にその判断枠組みが、受任した事件の事実のもとでも使えるかどうかを検討します。

まったく同じ事件はありません。ですから当然に事実関係は異なります。問題は異なる程度です。

事実がズレていても依然、類似の裁判例の判断枠組みが使えるのか、それとも判断枠組みが使えないほどに事実にズレがあるのか、それを検討することが重要なのです。

さらに事実のズレが大きく判断枠組みが使えないとしても、判断枠組みを修正して「射程」を及ぼすことはできないか、ということまで検討することで受任した事件の判断枠組みが次第に見えてくるようになります。

これが「判例の射程の問題」です。

判例の射程について理解することは、一般的に訴訟において必要な能力だと言われています。

しかし、在留特別許可を扱う上でも必要な能力です。この能力は多くの事件を扱ったからといって身に付くものではありません。大事なことは数ではなく、どういう姿勢で何を意識してこの業務を行ってきたかです。

事実がどの程度ズレているのかを知るためには事実調査を綿密に行うことが必要になります。

そういった意味で法律調査と事実調査は在留特別許可に向かう車の両輪なのです。どちらかが欠けたり不十分であれば、車はまっすぐ進みません。そうすれば目的地に到達することはないでしょう。

プロフィール

在留調査チーム高度な調査に基づく在留特別許可手続きで強制送還をストップ! 法律調査と事実調査の専門調査員が連携して在留特別許可に関する書類を作成します。収容案件では即時面会を実現して仮放免許可申請に備えます。在留調査チームは徹底した法律調査と事実調査を行う在留特別許可の専門チームです。