在留特別許可は法務大臣の裁量によって、その許否が決まります。しかし無制約に裁量が認められるわけではなく、一定の枠の中で自由に決定できるにすぎません。

法務大臣の裁量統制については事柄の性質上、入管法や在留特別許可に係るガイドラインには明記さていません。そこで参考になるのが裁判例です。

裁判で原告が勝訴するのは、行政手続における法務大臣の判断が違法だと認定された場合です。裁判所が法務大臣の裁量を違法だと認定するのは、裁量に逸脱・濫用があった場合です。法務大臣の裁量に逸脱・濫用があるとは、裁量が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるような場合をいいます。

では「社会通念に照らし著しく妥当性を欠く」とは、具体的にどのようなことをいうのでしょうか。

この点に関する審査手法は裁判例を見ればがわかります。具体的には、重大な事実誤認、目的動機違反、比例原則違反、平等原則違反、信義則違反の有無や実体判断過程統制などといった手法です。裁判官は、これらの審査手法を用いて「社会通念に照らし著しく妥当性を欠く」か否かを判断しているわけです。

在留特別許可の嘆願を行うには、これら審査手法を理解している必要があります。それは行政手続の段階で裁量の逸脱・濫用をしないよう書面で釘を刺しておくためです。

法務大臣に対し慎重な判断を促すことにこそ意味があります。

行政書士としては、この点を意識して在留特別許可の嘆願を行うべきでしょう。行政書士は訴訟代理人にはなれませんが、訴訟における行政裁量論を行政手続に生かすことはできます。

これまで多くの退去強制に関する行政訴訟が提起されてきました。しかし原告(外国人側)の多くが敗訴しています。

行政訴訟で在留特別許可が認められるのはごく一部のケースにとどまっていました。しかし近年、少しずつですが訴訟で在留特別許可が認められるケースが増えています。つまり裁量統制のバリエーションが増えているといえます。

プロフィール

在留調査チーム高度な調査に基づく在留特別許可手続きで強制送還をストップ! 法律調査と事実調査の専門調査員が連携して在留特別許可に関する書類を作成します。収容案件では即時面会を実現して仮放免許可申請に備えます。在留調査チームは徹底した法律調査と事実調査を行う在留特別許可の専門チームです。